会長挨拶

愛知県透析医会の皆さまへ







愛知県透析医会 会長
稲熊 大城

愛知県透析医会の皆さま、日頃透析医療にご尽力いただき、お疲れ様です。また、医会へのご協力に対して心から感謝申し上げます。

新型コロナウイルス感染症は5類へ移行し、メディアで取り上げられることも激減し、世間はようやく落ち着きを取り戻した感があります。本感染症が発生した際に、知り合いの疫学を専門とする先生から、「このような類いの感染症は国民の70%が罹患しないと治まらない、5年近くかかるかもしれない。」という話を聞きました。当初は半信半疑だったのですが、今となっては素晴らしい読みであったと感心しています。

しかしながら、一難去ってまた一難であり、2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登半島で最大震度7の地震が発生し、280名を超える死者(災害関連死を含む)と数多くの負傷者を出しました。未だ避難所生活を強いられている方も多くいらっしゃいます。愛知県透析医会としては、義援金という形で支援させていただきました。災害関連で言えば、パンデミック前から伊藤功先生中心に行政との話し合いを含めて精力的に取り組んでいただいてきましたが、現在は災害対策マニュアルの作成中であり、これについては臨床工学技士をはじめてする多職種に関わっていただく予定です。

2022年末の透析患者数が、これまで初めて前年度を下回ったことが示され、驚いた先生も少なくないと思います。この要因の詳細はまだわかりませんが、今後もこの傾向が続くかもしれません。また、保存的腎臓療法(Conservative kidney management)も少しずつ認知度が上がり、透析療法の目的や意義を患者個々で考える時代となってきました。限られた 財源ならびに人的資源のなかで、どのような治療がベストなのかを考えていくべきですが、日本がこれまで実践してきた世界に誇るべき透析療法を維持したいものです。

透析医療に関しては、医学的な問題のみならず、災害対策、感染症対策、診療報酬、さらには保存的腎臓療法(Conservative kidney management)などその他多くの問題課題が山積しております。そのような厳しい環境下ではありますが、愛知県透析医会はできるだけ多くの会員の方々のご意見を尊重し、会員全員で様々な課題に取り組んでいきたいと考えています。今年度も何卒よろしくお願い申し上げます。